山川 秀峰 YAMAKAWA Shuho 日本新八景 美人画図 婦女四題 秋
山川 秀峰 YAMAKAWA Shuho 日本新八景 美人画図 婦女四題 秋
作品情報
作家名 | 山川 秀峰/YAMAKAWA Shuho |
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作品名 | 日本新八景 美人画図 婦女四題 秋 |
商品番号 | SH-0089 |
寸法 | 全体のサイズ:H27.0cm×W19.5cm 刷りのサイズ:H24.2cm×W16.5cm |
摺刷 | 復刻 |
備考 |
コンディション
ヤケ | ◯ | シミ | |
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ヤブレ | チギレ | ||
オレ | 裏打ち | ||
ムシクイ | マージンカット | ||
テープ跡 | ピンホール |
作品詳細
美人画の雄、山川秀峰の一作です。「日本新八景」は、新聞社(毎日新聞:当時の東京日日新聞と大阪毎日新聞)の企画で制作されたシリーズ版画です(1928年出版)。日本の新しい名勝を見出すべく、読者からの葉書による投票で8箇所の景勝地を決め、風景画を制作しました。もともと日本画家だった川瀬巴水が版画家に転向したのは、伊東深水の木版画「近江八景」に感銘を受けたためといわれており、巴水としても思い入れのあるシリーズなのではないでしょうか。その「日本新八景」を浮世絵版画刊行会が企画/再販したものです。美人画で知られる山川秀峰(1944年没)の復刻版画を2点追加して全10回の頒布が行われました。山川秀峰は「新興版画選」と題し、先述した巴水の「日本新八景」とともに「美人八佳選」を出版しており、そのつながりを意識した企画のようです。
山川秀峰の初期の代表作として知られる「婦女四題」シリーズにおいて、「秋」として発表された版画です。トランプ柄の羽織を身に着け、モダンガールを気取った若い女性の姿を丁寧に描いています。着物の柄や着こなしは当時の流行をしっかりと捉えており、山川秀峰が単なる画家としてだけでなく、優れたイラストレーターとしての側面も持ち合わせていたことがうかがえる作品と言えるでしょう。
作家情報
山川 秀峰/YAMAKAWA Shuho
明治31年(1898)〜昭和19年(1944)
日本 京都府出身
略歴
山川秀峰は、大正期から昭和期にかけて活躍した日本の画家/版画家です。秀峰は日本画家である池上秀畝のもとで日本画を学びました。同門には江戸川乱歩の表紙などを描いたイラストレーターの小林秀恒がいます。1913年には鏑木清方に入門し、美人画を学びます。1920年代後半には木版画による美人画を制作するようになり、1927年には代表作の一つでもある「婦女四題」を、翌1928年には川瀬巴水の「日本新八景」とともに「美人八佳選」を出版しました。
同じ頃、安定して帝展への入選を繰り返すようになり、1931年には帝展の無鑑査(審査や監査無しで出品できること)として認められています。新版画の旗振り役である渡辺正三郎とともに新版画運動にも参加しており、渡辺版画店や西宮書院から美人画を発表しています。1939年には伊東深水らと「青衿会」を結成しており、近代美人画を牽引する存在でした。
更新の育成にも努めており、同門であった小林秀恒や、志村立美などが門人として知られています。シカゴ美術館やホノルル美術館には、山川秀峰の絵画が数多く収蔵されています。
作品の特徴
山川秀峰は伊東深水らとならび、近代美人画の祖として知られています。秀峰は師である鏑木清方の画風を受け継ぎつつも、独自のモダンで洗練された美人画を描きました。当時の流行を反映した着物の柄や髪型など、時代の雰囲気を巧みに取り入れています。切れ長で物憂げな大きな瞳や、繊細な筆線、着物の絞りの緻密な描き込みなども特徴的です。
昭和6年頃からは、舞踊を主題とした「舞踊画」を多く手掛けました。踊りの一瞬のポーズの中に、静けさや優雅さ、緊張感を表現することを得意としました。代表作である「序の舞」に見られるように、次の動作に移る瞬間の動きを捉えることに注力しました。そのためのスケッチや写真撮影は数百枚にもおよび、入念に構想を練ったと言われています。
作品全体に落ち着きのある品格と優雅さが漂っています。単なる美しさだけでなく、女性の内面の情感や息づかいまでも感じさせるような表現力が魅力です。一方で、雑誌の挿絵も手掛けており、幅広い層に親しまれました。