小原 古邨(祥邨) OHARA Koson (Shoson) 雪中の柳橋
小原 古邨(祥邨) OHARA Koson (Shoson) 雪中の柳橋
作品情報
作家名 | 小原 古邨(祥邨)/OHARA Koson (Shoson) |
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作品名 | 雪中の柳橋 |
商品番号 | SH-0032 |
寸法 | 全体のサイズ:H39.4cm×W26.7cm 刷りのサイズ:H36.2cm×W24.2cm |
摺刷 | 生前摺り |
備考 | ワタナベ印6ミリ |
コンディション
ヤケ | シミ | ◯ | |
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ヤブレ | チギレ | ||
オレ | 裏打ち | ||
ムシクイ | マージンカット | ||
テープ跡 | ピンホール |
作品詳細
「花鳥画の名手」といわれた小原古邨。こちらは「祥邨」名義で渡邊版画店から発表された作品の一つです。画面の手前には大きな柳の木が描かれており、縦の構図を強調しています。雪が載ってだらんと垂れ下がった枝の下には、橋を渡っている二人の人物があります。着物がなびくほどの向かい風の中、傘を窄めながら足速に雪道をゆく様子が描かれています。古邨の作品は元々欧米で高い評価を受けていたこともあり、当時の作品はほとんど日本に残っておらず、希少価値が高くなっております。近年、NHKの「日曜美術館」で取り上げられたり、展覧会が開催されるなど、国内でも人気が出ています。
作家情報
小原 古邨(祥邨)/OHARA Koson (Shoson)
明治10年(1877)〜昭和20年(1945)
日本 石川県金沢市出身
略歴
小原古邨は1877年生まれ。花鳥画の名手である鈴木華邨に師事します。東京美術学校の教授であり、帝室博物館の顧問をしていたアーネスト・フェノロサの指導を受け、明治後期には版元・松木平吉のもとで花鳥版画を手掛けました。古邨の優れた表現力と、江戸時代から続く彫師や摺師の高度な浮世絵版画技術。それらが融合して生み出された繊細な作品は、多くが欧米にわたり、現地の人々に愛されました。
東京では、浮世絵の構図や下絵の制作も手掛けましたが、多くは花鳥画の制作を行いました。並行して日本画協会主催の「共進会展」に出品しながらいくつかの賞をとり、実力を伸ばしていきます。そして新版画の提唱者である渡邊庄三郎のもとで、作品を発表するようになります。渡邊版画店で発行する作品は、号を「祥邨」とし、また、酒井堂と川口商店との共同出版では「豊邨」としました。
華やかな彩色とモダンな画面構成が印象的な古邨の作品は、同時代のアメリカやポーランドなどでも展示され、大きな反響を呼びました。
作品の特徴
小原古邨の作品は、可愛らしい鳥や動物、花といった身近な自然を木版画で表現しているのが特徴です。動物好きはもちろん、誰からも愛される作品ばかりと言えるでしょう。一見したところ、江戸時代の浮世絵と同じ木版画には見えません。しかし、伝統的な浮世絵版画の技術を踏まえつつ、明治から昭和の時代の好みに合わせ、まるで水彩画のような淡く美しい色合いを実現させています。
古邨の下絵は江戸時代の浮世絵のように、版下の輪郭線だけを描き、それに色指定をするのではなく、日本画の本画と同様、絹地に着彩したもので、それを湿板写真で撮影し、現像後、乳剤面をガラス板から剥がし、版木に貼って彫り出すという工程を経ています。身近な自然が見せる一瞬の美をとらえた古邨の木版画は、日本にやってきた欧米人のお土産品として絶大な人気を博しました。オーストリアの画家であるグスタフ・クリムトも、古邨の木版画を愛蔵していたといいます。制作当時から海外で高い人気を誇り、近年、国内でも注目を集めています。