川瀬 巴水 KAWASE Hasui 舟津の秋
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新版画を代表する作家として有名な川瀬巴水の作品です。富士五湖の一つである河口湖は最も北に位置し、湖越しの富士が絶景として名高い場所です。ところが、巴水はいわゆる名所絵となるのを嫌ったかのように、湖を背にし、舟津村からの富士を描いています。故郷を想起させる秋の農村風景には、道で遊ぶ鶏と軒先の紅葉とが描かれおり、ストーリー性の高い画面となっています。空の低い位置にたなびく雲や山肌を覆う雪が夕焼けに照らされ、薄桃色に染まっています。日本の情緒あふれる原風景に、どこか懐かしさを感じさせるのが巴水作品の特徴です。復刻版は色も綺麗で状態も比較的良いものが多く、人気を集めています。

川瀬 巴水 KAWASE Hasui 田子の浦の夕
SH-0039

新版画を代表する作家として有名な川瀬巴水の作品です。こちらは「東海道風景選集」という、26図からなるシリーズ(未完)の中の一点です。田子の浦とは、現在の静岡県東部の富士市にある駿河湾の砂浜海岸です。万葉集に収められた和歌でも広く知られ、富士山の眺望にすぐれる海岸として知られていました。手前にある高い松の樹々がフレームのような役割をし、土手をいく荷馬車と、夕陽に照らされ赤く染まった富士山の美しさをより一層際立てています。どこか懐かしく、ノスタルジックな雰囲気が漂う巴水らしい作品です。復刻版は発色も良好で、状態も良いものが多いため、普段遣いできる新版画として人気です。

川瀬 巴水 KAWASE Hasui 松島双子島
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川瀬巴水が昭和8年(1933年)に制作した「日本風景集東日本篇」というシリーズ作品のうちのひとつです。「日本三景」として知られる松島に浮かぶ「双子島」を描いています。双子島を手前に配し、奥には水平線とその上に漂う重い雲を描き、その雲間から輝く月をのぞかせています。月の光が青く照らし、空気の冷たさ、静けさなどを感じ取れるほどです。こちらは復刻版ですが、その中でも状態が良好であり、摺の色も美しいため、贈り物としてもおすすめです。

吉田 博 YOSHIDA Hiroshi 吉川
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吉田博は、川瀬巴水や伊東深水らと並ぶ、新版画を代表する版画家です。特に風景画を得意としました。吉田博の作品には水を描いたものが多くあります。「水を描かせたら吉田博の右に出るものはない」と言わしめたその表現力の裏には、水への並々ならぬこだわりが隠されています。川の水面に木々や住居が美しく映る様子が描かれています。穏やかな水面の様子から、静寂を感じ取ることができます。こちらは直筆サイン入りの自摺作品となります。新版画としては異例なことですが、吉田博は自身が摺師に細かく指示をして納得のいく作品が出来上がった場合、摺師が摺った物でも自分で摺ったのと同じ事だという考えのもと、そのような作品には「自摺」と書いていました。言うならば、「絵師のお墨付き」作品という事です。そのため、市場での価値も高くなっております。

伊東 深水 ITO Shinsui 時雨
SH-0034

伝統的な歌川派浮世絵の流れを継ぐ最後の美人画家と言われた伊東深水の一枚。時雨(しぐれ)とは、秋の末から冬の初めにかけて、ぱらぱらと通り雨のように降る雨のことを言います。また、しぐれる日はとても寒く、冷たい雨になります。画中の女性も羽織を身に纏い、防寒をしている様子が見られます。表情はしっとりと柔らかく、ほんのりと色づいた唇に微笑みを浮かべています。日本の女性らしい奥深い優しさや慎ましさを感じる作品です。深水作品の中でも、傘を持っているいわゆる「傘美人」と呼ばれる作品は非常に人気が高くなっております。

伊東 深水 ITO Shinsui ささやき
SH-0033

伝統的な歌川派浮世絵の流れを継ぐ「最後の美人画家」と言われた伊東深水の一枚です。深水はこの「ささやき」とほぼ同一の構図で「春宵」という作品も描いています。他にも、髪飾りや着物の柄を変えたりして何度も描いており、深水が好んだ構図であるようです。可愛いだけではなく、少し悪戯めいた表情の女性二人ががささやきを交わす場面は、いかにも深水らしい艶やかさを漂わせています。かんざしや着物の模様など細部まで丁寧に描き込まれた表現も見どころですが、互いのまなざしから汲み取れる感情もまた面白い作品になっています。また、背景には「雲母摺」という技法が施されています。これは、喜多川歌麿や東洲斎写楽の浮世絵でお馴染みの技法で、キラキラと輝く雲母の粉や貝殻の粉を使用します。これにより、摺り上がった紙の表面には、真珠のような美しい光沢が現れ、贅沢な仕上がりになっております。

小原 古邨(祥邨) OHARA Koson (Shoson) 雪中の柳橋
SH-0032

「花鳥画の名手」といわれた小原古邨。こちらは「祥邨」名義で渡邊版画店から発表された作品の一つです。画面の手前には大きな柳の木が描かれており、縦の構図を強調しています。雪が載ってだらんと垂れ下がった枝の下には、橋を渡っている二人の人物があります。着物がなびくほどの向かい風の中、傘を窄めながら足速に雪道をゆく様子が描かれています。古邨の作品は元々欧米で高い評価を受けていたこともあり、当時の作品はほとんど日本に残っておらず、希少価値が高くなっております。近年、NHKの「日曜美術館」で取り上げられたり、展覧会が開催されるなど、国内でも人気が出ています。

川瀬 巴水 KAWASE Hasui 河口湖
SH-0031

静かな日常の風景が得意な川瀬巴水。彼の親しんだ東京での風景、特に水辺の風景を好んだといいます。富士河口湖町は日本を象徴する火山、富士山の北麓にある町で、富士登山の吉田ルートの玄関口となっています。町は風光明媚な富士五湖のひとつ、河口湖を囲むように広がっており、その湖から富士山の全景を眺めることができます。その様子を綺麗な青で表現した作品です。こちらは復刻版ですが、その中でも状態が良好であり、摺の色も美しいため、贈り物としてもおすすめです。

川瀬 巴水 KAWASE Hasui 瀬来の夕
SH-0030

新版画を代表する作家として知られる川瀬巴水の作品です。巴水の手掛ける独特の澄み切った青は「巴水ブルー」とも呼ばれ、新版画ファンから絶大な人気を誇ります。日が沈み、暗くなり始めた水辺の風景を描いたこちらの作品でも、黒ではなく青が多く用いられています。潮来(いたこ)は茨城県の南東部、利根川下流域にあります。水郷(低湿地)で知られるエリアで、江戸時代から水運の中継港として栄え、明治以後は水郷を利用した観光産業が盛んとなりました。水運業で栄えた商人たちの蔵がモチーフの中心となっています。現在は観光地として有名な場所となっています。登り始めた月、水辺を歩く親子、繋ぎ止められた子船という、郷愁を誘う水辺の景色が描かれています。

高橋 松亭 TAKAHASHI Shotei 寺島の雨
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郷愁を誘う日本各地の風景を、繊細な色彩と情緒あふれる筆つきとで味わい深く描き、日本のみならず海外でも高い人気を博す、高橋松亭の作品です。こちらは縦長の短冊型の版画に、細かい雨の描写が印象的な一枚です。背景には茂み、家、木々のシルエットが重なり合い、地面から立ち込める雨靄(あまもや)も描写されていることで、立体的な奥行きを感じます。全体的にモノトーンを基調とした、どんよりと重たい色合いの絵ですが、手前に描かれている人物には鮮やかな色が使われており、見る人の視線を集めます。降りしきる雨の中、足早に路を行き交う人々の様子が、生き生きと描かれています。

吉田 遠志 YOSHIDA Toshi 白梅
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吉田博は洋画家として、また版画家として世界的に有名です。ご紹介するのは博の長男である吉田遠志の作品です。梅は、まだ少し肌寒い時期に、まるで春の季節の訪れを教えてくれるかのように、可憐な花を咲かせ見頃を迎えます。白梅の花言葉は「気品」と「澄んだ心」です。その清楚な雰囲気は、見るものをはっとさせるような澄んだ魅力を持っています。決して華やかすぎず奥ゆかしい花模様から、上品な甘酸っぱい香りが漂ってくるような作品です。冬から春へと変わる時期に、ぜひ玄関や床の間などに飾られてはいかがでしょうか。

川瀬 巴水 KAWASE Hasui 瀬来の夕 額装済
SH-0027

新版画を代表する作家として知られる川瀬巴水の作品です。巴水の手掛ける独特の澄み切った青は「巴水ブルー」とも呼ばれ、新版画ファンから絶大な人気を誇ります。日が沈み、暗くなり始めた水辺の風景を描いたこちらの作品でも、黒ではなく青が多く用いられています。潮来(いたこ)は茨城県の南東部、利根川下流域にあります。水郷(低湿地)で知られるエリアで、江戸時代から水運の中継港として栄え、明治以後は水郷を利用した観光産業が盛んとなりました。水運業で栄えた商人たちの蔵がモチーフの中心となっています。現在は観光地として有名な場所となっています。登り始めた月、水辺を歩く親子、繋ぎ止められた子船という、郷愁を誘う水辺の景色が描かれています。復刻版を額装していますので、状態もよく、贈答などにもおすすめです。

吉田 博 YOSHIDA Hiroshi 瀬戸内海集 帆船 午後
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大正11(1920)年、渡辺版画店より出版された「帆船」(3部作)に連なる作品であり、「瀬戸内海集1」に収録されたものです。本シリーズ制作の翌年、第8回帝展には「帆船」(4部作)を発表しています。日本アルプスなどを描いた「山のシリーズ」と対をなす「水のシリーズ」の代表作です。同じ版木を使い、摺色を替えることで刻々と変化する大気や光を表わしています。複雑な色彩表現のために重ねた摺数の平均は30数度に及び、巨大な版木を用いた特大版を制作するなど、あくなき探究心をもって独創的な木版画を生み出しました。その時々でしか見せない帆船や海の表情を見事に表しています。こうした試みを作家自ら「別刷」と称しました。哀愁ある素敵な作品となっております。吉田博作品としても、新版画作品としても最も価値ある名作シリーズの一枚と言えるでしょう。

吉田 博 YOSHIDA Hiroshi 瀬戸内海集第二 鞆之港
SH-0025

吉田博は、川瀬巴水や伊東深水らと並ぶ、新版画を代表する版画家です。特に風景画を得意としました。鞆の浦(とものうら)は、広島県福山市鞆地区の沼隈半島南端にある港湾およびその周辺海域です。美しい弧を描く湾は瀬戸内海のほぼ中央に位置し、東西の海峡から満ちてきた潮が出合い、引き潮が分かれていく位置であったことから、古来より「潮待ちの港」「風待ちの港」と呼ばれ栄えてきました。こちらの作品には、鞆の浦の何気ない日常の一場面が描かれています。絵を眺めていると、心地よい潮風とともに、当時にタイムスリップしたような懐かしい感覚やぬくもりを感じます。画集記念後刷りで状態も概ねよく、色彩の細かいニュアンスも綺麗に見てとれます。

川瀬 巴水 KAWASE Hasui 芝増上寺
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川瀬巴水の東京二十景シリーズより「芝増上寺」です。街の風景と女性をモチーフにした、人気の一枚。寺院の朱色と雪の白とのコントラストが特徴です。画面左側に見切れるように配された木の構図などは、歌川広重を想起させます。雪の積もった枝の角度や風に舞う雪、女性のさす傘の角度などから、冬の冷たい風と凛とした空気感とが想像できます。テレビの鑑定番組で取り上げられ、高値のついた作品でもあります。

川瀬 巴水 KAWASE Hasui 白浜円月島
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新版画を代表する作家として人気の川瀬巴水。「日本風景集II 関西篇」というシリーズの一作です。白浜円月島(和歌山県)の周囲にひろがる海の、空とは違う澄んだ青が印象的な一枚。男性が釣りをしている様子も描かれており、悠久の時を感じさせる作品です。巴水の手掛ける独特の澄み切った青は「巴水ブルー」とも呼ばれ、新版画ファンから絶大な人気を誇ります。

吉田 博 YOSHIDA Hiroshi 姫路城 夕
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現在の兵庫県姫路市にある姫路城が描かれています。 姫路城は、池田輝政や本多忠政らが城主となって城を治め、1869年(明治2年)に国有となりました。その後国宝に指定され、さらに日本初の世界文化遺産となりました。白鷺が羽を広げたような姿に見えることから「白鷺城」の愛称で親しまれており、白い城壁や7階建ての大天守などが特徴です。 こちらの作品は、夕暮れのあたたかみのある空に姫路城の大天守がよく映えています。画面手前に生い茂る木々の色合いは暗く、空の明るさとの対比が美しい一枚です。吉田博は国内外問わずとても人気のある作家で、当時の作品の多くは年々希少価値が高くなってきております。

大野 麦風 ONO Bakufu 大日本魚類画集より「真鯛」
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「魚の画家」と呼ばれる大野麦風の代表作「大日本魚類画集」。その最初の作品がこちらの「真鯛」です。大日本魚類画集の中でも最も有名で、代表的な作品と言えるでしょう。麦風は鯛について、「食文化の最高峰に位置する魚」として重視すると同時に、「潜水艇から間近にその生態を観察した際の真鯛の群れの魚鱗の模様の動く麗色に心底から神秘的な美を感じた」と述べています。泳ぐ鯛の美しさへの感動から、最初に描いた意図があるようです。縁起の良い魚としても有名な鯛です。お祝い事などに贈答用としてもおすすめです。

大野 麦風 ONO Bakufu 大日本魚類画集より「伊勢海老」
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「魚の画家」と呼ばれる大野麦風の代表作「大日本魚類画集」。画面いっぱいに描かれた伊勢海老が迫力満点の作品です。伊勢海老は浅い海に生息する大型のエビで、体長は通常20〜30cmほどです。岩の隙間に身を潜めている姿からは、獲物を狙う緊張感が伝わってきます。今にも触覚や手足が動き出しそうなほど、リアルに描かれています。版画とは思えないような繊細な描写を、ぜひお手にとってじっくり眺めていただきたい作品です。

大野 麦風 ONO Bakufu 大日本魚類画集より「金魚」
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「魚の画家」と呼ばれる大野麦風の代表作「大日本魚類画集」。こちらは海中の金魚を描いた作品です。この作品には背景がなく、金魚自体の美しさが版画で見事に表現されており、魚の画家の真骨頂ともいえる作品です。ふっくらとした体に鱗が輝き、尾びれをひらりと揺らめかせて泳ぐ姿を優美に描いています。涼しげな雰囲気は、お店やオフィス等のインテリアにもピッタリです。

大野 麦風 ONO Bakufu 大日本魚類画集より「鯖」
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「魚の画家」と呼ばれる大野麦風の代表作「大日本魚類画集」からの一枚です。こちらは海中の鯖(サバ)を描いた作品です。体表面の特徴的な模様を丁寧に描写しています。構図として、向きは統一しながらも角度を少しずつ変化させており、「サバ」の名前の由来でもある群棲している様子を見事に描いています。共タトウと一緒に作品がのこっている例は少ないため、希少価値の高い作品です。部屋の和洋問わず、お店やオフィス等のインテリアとしてもおすすめです。

大野 麦風 ONO Bakufu 大日本魚類画集より「サケ」
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「魚の画家」と呼ばれる大野麦風の代表作「大日本魚類画集」から、「サケ」を描いた作品です。渦巻く波を超え力強く泳ぐ姿が描かれており、第日本魚類画集のなかでも印象的な一枚です。共タトウが現存する希少な一枚です。図鑑として、解説の方もお楽しみください。

大野 麦風 ONO Bakufu 大日本魚類画集より「ハマチ」
SH-0016

「魚の画家」と呼ばれる大野麦風の代表作「大日本魚類画集」から、「ハマチ」を描いた作品です。色の濃淡により、奥にいるハマチと手前にいるハマチとが描き分けることで、海中の一場面を切り取った感じになっており、絵画作品としても美しい構図です。共タトウと一緒に作品がのこっている例は少ないため、希少価値の高い作品です。図鑑として、解説の方もお楽しみください。

大野 麦風 ONO Bakufu 大日本魚類画集より「サメ」
SH-0015

「魚の画家」と呼ばれる大野麦風の代表作「大日本魚類画集」から、「サメ」を描いた作品です。
モデルとなっているのは「ホシザメ」と呼ばれる、日本近海に多く生息するサメのようで、体長は約1.5mほどです。白い星状の斑文が目立つため、ホシザメと呼ばれています。画面の中には、二匹のサメが描かれています。つがいでしょうか。色の濃淡により、奥にいるサメと手前にいるサメが描き分けられており、何気ない海中の一場面を切り取っている様でいて、絵画作品としても美しい構図です。共タトウと一緒に作品がのこっている例は少ないため、希少価値の高い作品です。図鑑として、解説の方もお楽しみください。

大野 麦風 ONO Bakufu 大日本魚類画集より「カワハギ」
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「魚の画家」と呼ばれる大野麦風の代表作「大日本魚類画集」。こちらは海中のカワハギを描いた作品です。カワハギの特徴的な模様を丁寧に描写しており、3匹いるカワハギの角度をそれぞれ変えて描くことで、画面に動きが感じられます。ヒトデやイソギンチャク、海藻をそれぞれ異なる彩色で描き分けることで、にぎやかな一枚となっています。共タトウと一緒に作品がのこっている例は少ないため、希少価値の高い作品です。
部屋の和洋問わず、お店やオフィス等のインテリアとしてもおすすめです。

大野 麦風 ONO Bakufu 大日本魚類画集より「サヨリ」
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「魚の画家」と呼ばれる大野麦風の代表作「大日本魚類画集」からの一枚です。こちらは海中を泳ぐサヨリの群れを描いた作品です。サヨリの側面にある特徴的な模様を丁寧に描写しています。青色の濃淡で水深を表現しており、図鑑らしからぬ美しい構図の作品です。共タトウと一緒に作品がのこっている例は少ないため、希少価値の高い一品です。動植物を扱った作品は飾りやすいので、贈答などにもおすすめです。

大野 麦風 ONO Bakufu 大日本魚類画集より「フグ」
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「魚の画家」と呼ばれる大野麦風の代表作「大日本魚類画集」からの一枚です。すぼめた口にぷっくりとしたお腹という、魚に明るくない人でもそれとわかるユニークな姿を丁寧に描いています。絶妙に配置された5匹のフグは、色の濃淡によって遠近を描き分けています。共タトウと一緒に作品がのこっている作品は少なく、その希少性もおすすめポイントです。

ポール・ジャクレー Paul Jacoulet 世界風俗版画集より「極楽鳥、セレベス島」
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1936年から翌年にかけて刊行されたポール・ジャクレーの「世界風俗版画集」。訪れた世界各地の風俗を色鮮やかに描いた作品は、国内外で人気を博しました。セレベス島はインドネシア四大島の一つで、現在はスラウェシ島と呼ばれています。極楽鳥は「鳥類で最も美しい羽色をもつ」とされるフウチョウ科の鳥のことです。木の幹でゆったりとくつろぐ極楽鳥と、無心で遠くを眺める女性が描かれたこちらの作品からは、穏やかな南国の空気の中にどこか静けさを感じます。女性が描かれた人物画はお部屋やお店、オフィスなどにも飾りやすく、贈り物としてもおすすめです。

ポール・ジャクレー Paul Jacoulet 世界風俗版画集より「雪の夜、朝鮮」
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1936年から翌年にかけて刊行されたポール・ジャクレーの「世界風俗版画集」。彼が訪れた世界各地の風俗を色鮮やかに描いた作品は、国内外で人気を博しました。こちらの作品には、雪の降る夜に戸外でカンテラを持つ男が描かれています。吸い込まれそうな黒い闇、笠に降り積もった雪の白、そのコントラストが印象的です。また、男性の持つカンテラの明かりが穴から四方に漏れ出て、光の筋を描いています。赤みを帯びた光の色が、 モノトーンに近い画面の差し色になっており、温かさが伝わってくるようです。男性一人をモチーフにした作品は、新版画の中でも珍しいです。

ポール・ジャクレー Paul Jacoulet 世界風俗版画集より「新しいドレス」
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1936年から翌年にかけて刊行された、ポール・ジャクレーの代表作「世界風俗版画集」。訪れた世界各地の風俗を色鮮やかに描いており、国内外で人気を博しました。床に直に座っている女性が、口元にはうっすらと微笑みを浮かべながら、画面外のどこか遠くを見つめています。題名にある「新しいドレス」には、袖や襟元にレースがあしらわれており、花柄の刺繍で装飾が施してあります。やや大きめなサイズ感のドレスを身に付けあぐらをかくその姿は、非常にリラックスしています。画面の中には穏やかで落ち着いた空間が広がっており、眺めているこちらも自然と心穏やかになり、安らぎを感じることができる不思議な作品です。

土屋 光逸 TSUCHIYA Koitsu 牛込神楽坂
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光と影、遠と近を巧みにあやつる抒情的風景画作家として知られる土屋光逸。そんな光逸の特色が色濃く表れている作品です。牛込神楽坂は、現在の東京都新宿区神楽坂付近です。江戸の名所として江戸中期の錦絵などにも度々登場しており、安藤広重の描いた「牛込神楽坂之図」が有名です。雨で濡れた細長い路地を、傘を差した女性が行き交う風景。割烹「土井」の提灯や店内の光が雨の溜まった水面に反射することで、ふんわりした明るさが周囲に広がっており、情緒豊かな夜の東京の色気を感じます。柔らかく照らされた夜空や路地のグラデーション、何処か懐かしさを感じさせる建物の細部まで、ぜひお手にとってご覧いただきたい作品です。

川瀬 巴水 KAWASE Hasui 清水寺乃暮雪
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川瀬巴水は生涯で4度、清水寺を描いていますが、最後に描かれたのがこの作品です。お堂の中からみえる景色を描いており、浮世絵を彷彿とさせる非常に面白い構図になっています。雪の表現が秀逸で、雪が溶けて濡れた床や、堂内にひらひらと降り込んでくる雪の様子が丁寧に描かれています。巴水はかつて、雪の描写について、「皆一様に点体のみで降る雪を現はしてゐる様です。それではどうも物足りませんので、一つもう一層真実に近いものにしたい。」と語っています。その言葉通り、雪を点体として表現するのではなく、「雪が降っている」ということの流れや雰囲気を繊細に捉えているように感じられます。
清水寺という題材と、雪景色が描かれていることから、戦後の巴水の作品の内ではかなり人気のある版画だといえます。

川瀬 巴水 KAWASE Hasui 浜町河岸
SH-0005

静かな日常の風景が得意な川瀬巴水。彼の親しんだ東京での風景、特に水辺の風景を好んだといいます。倉庫や船、雲、水面に西日があたり、夕暮れ時の何気ない一場面が描かれています。浜町川は、かつて東京都千代田区岩本町から中央区日本橋浜町まで流れていた河川です。明治の浜町河岸は両国橋の長い鉄橋があり、河辺には当時最新の文物であった市電がさっそうと走り、近代化を象徴するような町でした。作品の中にも描かれているように、船での運送も盛んだったようです。元々この作品は双作版画会から販売されたものでした。双作版画会は美人画の伊東深水と組んだ企画で、大正12(1923)年の震災後に大きく変わっていく東京の姿を残そうとしたそうです。こちらは復刻版ですが、その中でも状態が良好であり、摺の色も美しいため、贈り物としてもおすすめです。

川瀬 巴水 KAWASE Hasui 岡山乃かねつき堂
SH-0004

主に時報や警報の為に用いられていた鐘つき堂は、かつては日本各地に存在しました。岡山市の鐘つき堂もその一つです。しかし、1945年の岡山空襲で焼失してしまいました。川瀬巴水は旅先で知人を頼り、地元の名士を紹介してもらい、版画や水彩画などを売って旅を続けていました。幾度か訪れた岡山の地で、名物であったこの「鐘つき堂」が戦災で焼失したことを知り、以前スケッチをしていた経緯もあったため、焼失を惜しんで描かれたのがこの作品であるといわれています。巴水の特徴のひとつである雨の描写は、版画であることを忘れるほどに繊細で、雨の日の静寂や湿った空気感までも感じられます。国内外で最も知名度と評価の高い巴水の作品は、大切な方への贈り物にも最適です。

小原 古邨(祥邨) OHARA Koson (Shoson) 芦に鷺
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「花鳥画の名手」といわれた小原古邨。こちらは「祥邨」名義で渡邊版画店から発表された作品の一つです。三日月の浮かぶ夜空、芦、二羽の鷺、波紋の伝わる水辺、と、奥から手前に向けて立体的な画面構成となっています。芦の茂みをシルエットで描くことで奥行きが感じられ、主題である鷺が一層際立ってみえます。鷺だけを見ると、直接紙に描いたようにもみえる精緻さがあります。元々欧米で高い評価を受けていたこともあり、当時の作品はほとんど日本に残っておらず、希少価値が高くなっております。近年、NHKの「日曜日美術館」で取り上げられたり、展覧会が開催されるなど、国内でも人気が出ています。

吉田 博 YOSHIDA Hiroshi ウェテホルン
SH-0001

世界各国を旅し、雄大な自然をとらえた吉田博の木版画は、アメリカを中心とした国外で早くから注目され、現在も高く評価されています。吉田博は欧州歴訪の後、1925年に「吉田版画スタジオ」を創設しました。自ら版元となり出版した「欧州シリーズ」の中の一点です。スイスのユングフラウ地方に位置する名峰ウェテホルン山(ヴェッターホルン山)の迫力ある姿や、雲間から覗く透き通るような青空、緑ゆたかな麓の風景を美しく描いた作品です。2019年〜2021年にかけて開催された「没後70年 吉田博展」でも展示されました。